シニア層のエスカレーターの安全利用について
~シニア層からの要望のTOP~
エスカレーター内での歩行を禁止してほしい
【考察】
当社では、全国約23万台のエレベーター・エスカレーターを保守・管理するとともに、安全利用の啓発活動を長年に渡り実施しています。その中で、シニア層に対しては、「降りるときには足を大きくふみだす」「移動手すりにしっかりつかまる」などエスカレーターの安全な利用に関する小冊子を作成し、安全利用を呼びかけています。
しかしながら、東京消防庁の2005年の報告によると、エスカレーターにおいては、65歳以上の高齢者の事故が53.1%を占めているとのことであり、また、当社が昨年8月に実施した調査によると、シニア層(60歳以上の男女)では、エスカレーターで、つまずいたり、転びそうになったりしたことのある方が約3割強(31.5%)に達しているなど、高齢化社会とともにシニア層への安全啓発活動は今後も継続して実施することが重要であると考えています。
一方、エスカレーターの歩行については、左右どちらかの片側あけが慣例のようになっていますが、日本エレベーター協会では、HPでのVTRやポスターなどを通じて、「エスカレーターを歩かない、走らない」の啓発活動を進めています。エスカレーターを歩くことや走ることが、危険や不便をともなう行為だということが、少しずつ浸透してきており、多くの場所でエスカレーターの歩行禁止の呼びかけが始まっています。
また、当社のシニア層への調査でも、安心してエスカレーターを使用するための要望事項として、「エスカレーター内の歩行を禁止して欲しい」がトップの33.0%となっています。さらに、「全員が手すりを持つようにしてほしい」も15.6%の第3位となっています。
シニア層からの「エスカレーターを歩かない、走らない」との要望が多いことが判明しました。

<日本エレベーター協会HPから>
■シニア層のエスカレーターの利用時の注意点
シニア層にとって、エスカレーター・エレベーターは、日常生活において重要なビル設備です。しかしながら、ちょっとした不注意などから事故に結びつくこともあります。
シニア層が、より安全に利用するための注意点につきまして、下記にご紹介します。
■一般社団法人 日本エレベーター協会のHPから
エスカレーター 歩かないで!走らないで!
エスカレーターの安全基準は、ステップ上に立ち止まって利用することを前提にしています。
◎歩行禁止の呼びかけが始まっています。
慣例となっているエスカレーターの片側あけですが、危険や不便をともなう行為だということが、少しずつ浸透してきました。多数の場所でエスカレーターの歩行禁止の呼びかけを始めています。

<日本エレベーター協会 エスカレーター安全利用キャンペンポスター>
●すり抜けは危険です。
すり抜けざまに他の利用者や荷物と接触して、思わぬ事故を引き起こすことがあります。
●歩いたり走ったりすると身体のバランスを崩します。
バランスを崩して転倒するなど、大きな事故を引き起こすことがあります。また他の利用者を巻き込む恐れもあります。
●ケガなどで、片方の移動手すりにしか、つかまることのできない方もいます。
たとえば左手を骨折していて、右手でしか手すりにつかまれない方がいらしたとします。その方はエスカレーターの右側にしか乗れませんが、右あけが慣習となっていたらとても不自由で危険です。
※日本エレベーター協会のHPでは、「エスカレーター 歩かないで!走らないで!」のVTRも紹介されています。
日本エレベーター協会HPより抜粋 http://www.n-elekyo.or.jp/
■シニア層のエスカレーター利用に関する調査
◎シニア層からの要望は、エスカレーター内での歩行を禁止してほしい33.0%
Q.安心してエスカレーターを使用するための要望 複数回答 N=454
|
実数 |
比率 |
| エスカレーター内での歩行を禁止してほしい |
150 |
33.0% |
| 乗降場所をもっと広く余裕をもってほしい |
98 |
21.6% |
| 全員が手すりを持つようにしてほしい |
71 |
15.6% |
| 降り場に手すりを設けてほしい |
70 |
15.4% |
| 踏み段を色分けして、もっと見やすくしてほしい |
69 |
15.2% |
| エスカレーターの幅をもっと広くしてほしい |
58 |
12.8% |
| 踏み段が平らになっているところをもっと長くしてほしい |
53 |
11.7% |
| 昼間の時間は動くスピードを遅くするなど、時間によって変更してほしい |
44 |
9.7% |
| 踏み段の縦幅をもっと広くしてほしい |
43 |
9.5% |
| 動くスピードを少し遅くしてほしい |
35 |
7.7% |
| その他 |
24 |
5.3% |
●エスカレーター内での歩行を禁止してほしい(33.0%)
●乗降場所をもっと広く余裕をもってほしい(21.6%)
●全員が手すりを持つようにしてほしい(15.6%)
◎エスカレーターでつまずいたり、転びそうになったりしたことのある方が31.5%
Q.エスカレーターで、つまずいたり、転びそうになったりしたことがありますか? カッコ内は実数
|
男性 |
女性 |
全体 |
| よくある |
0.0%(0) |
3.3%(7) |
1.5%(7) |
| ときどきある |
2.9%(7) |
7.5%(16) |
5.1%(23) |
| まれにある |
24.4%(59) |
25.5%(54) |
24.9%(113) |
| 経験がある |
27.3%(66) |
36.3%(77) |
31.5%(143) |
| ない |
72.7%(176) |
63.7%(135) |
68.5%(311) |
|
100%(242) |
100%(212) |
100%(454) |
※経験がある=よくある、ときどきある、まれにあるの合計
●「よくある」(1.5%)、「ときどきある」(5.1%)、「まれにある」(24.9%)となり、合算すると31.5%に!
●男性27.3%に対して、女性36.3%と9ポイントも高く、女性の方がヒヤッとした経験が多い!
◎ヒヤッとした体験は、上りのエスカレーターに乗る時42.0%
Q.どのような時に、つまずいたり、転びそうになりましたか? 複数回答 N=143
|
実数 |
比率 |
| 上りのエスカレーターに乗る時 |
60 |
42.0% |
| 上りのエスカレーターから降りる時 |
39 |
27.3% |
| 下りのエスカレーターに乗る時 |
37 |
25.9% |
| 下りのエスカレーターから降りる時 |
54 |
37.8% |
| 上りのエスカレーターに乗っている最中 |
9 |
6.3% |
| 下りのエスカレーターに乗っている最中 |
5 |
3.5% |
| その他 |
10 |
7.0% |
●つまずいたり、転びそうになったりした経験のある方143名が回答。
●上りのエスカレーターに乗る時(42.0%)
●下りのエスカレーターから降りる時(37.8%)
◎エスカレーターに乗り降りする際、タイミングを合わせづらい方が40.7%
Q.エスカレーターに乗り降りする際、タイミングを合わせづらいと感じたことはありますか?カッコ内は実数
|
男性 |
女性 |
全体 |
| よくある |
0.8%(2) |
7.5%(16) |
4.0%(18) |
| ときどきある |
2.9%(7) |
13.2%(28) |
7.7%(35) |
| まれにある |
31.0%(75) |
26.9%(57) |
29.1%(132) |
| ある |
34.7%(84) |
47.6%(101) |
40.7%(185) |
| ない |
65.3%(158) |
52.4%(111) |
59.3%(269) |
|
100%(242) |
100%(212) |
100%(454) |
●「よくある」(4.0%)、「ときどきある」(7.7%)、「まれにある」(29.1%)を合算すると40.7%に!
●男性34.7%に対して、女性47.6%と12.9ポイントも高く、女性の方が合わせづらい!
【年齢別】
|
65歳~69歳 |
70歳~74歳 |
75歳~79歳 |
80歳~84歳 |
| ある |
35.2%(38) |
41.2%(49) |
41.0%(48) |
45.5%(50) |
| ない |
64.8%(70) |
58.8%(70) |
59.0%(69) |
54.5%(60) |
|
100%(108) |
100%(119) |
100%(117) |
100%(110) |
●80歳~84歳では、45.5%の方が、合わせづらいと回答
◎エスカレーターを使用する際に注意していることは、手すりにつかまるが70.3%
Q.エスカレーターを使用する際に注意していることのTOP3 複数回答 N=454
|
実数 |
比率 |
| 手すりにつかまる |
319 |
70.3% |
| 乗る際には、タイミングを合わせて乗るようにしている |
256 |
56.4% |
| 黄色い線の内側にのる |
209 |
46.0% |
●手すりにつかまる(70.3%)
●タイミングを合わせて乗るようにしている(56.4%)
●黄色い線の内側にのる(46.0%)
◇調査概要
・調査時期 2012年8月
・有効回答数 60歳から84歳までの男女 計529サンプル
・調査方法 インターネットを通じてのWEB調査
・調査地域 全国